
医療機関を訪れる患者は、自分の体調や症状について多かれ少なかれ不安を感じています。医師は、患者が安心して治療を受けられるような話し方や雰囲気作りにも気を配る必要があります。
今回は、患者としっかりと向き合うため医師に求められるコミュニケーションについて考えていきましょう。
分かりやすく丁寧な説明
患者が意味を理解できるように、難解な医学用語は用いず、分かりやすい言葉での説明を心がけることが大切です。
もちろん、言葉の難易度だけでなく、患者の不安を取り除くような柔和な表情や声色、醸し出す雰囲気も重要です。
患者に適した治療を行う
病気の治療法は必ずしも一つではありません。「服薬による治療」「外科的手術による治療」「自然の回復力を高める治療」など多岐にわたります。
例えば風邪であっても、抗生物質や漢方薬を処方することもある一方で、「水分と栄養を補給して休息するように」と、生活指導のみを行う場合もあります。どの治療法を選択するのかはケースバイケースです。
患者の中には、なるべく薬を飲みたくないという人や、反対に薬を飲んででも早く治したいと考える人もいます。患者個人の考えを汲み取るためにも積極的にコミュニケーションを図り、希望に近い治療を行うことが重要です。
診療前に雑談をする
人は「気に掛けてくれる」と思える相手に対して信頼感が生まれやすいものです。そこで、診療前に少し雑談をしてみてはいかがでしょうか。雑談は、患者と良い関係性を築くのに有効な手法です。
短い外来診察時間で
付加価値を出す方法・笑顔で患者さんの顔を見て名前を言う
(視線はできるだけ患者さんへ)・触れる、聴診する
(田舎ではこれがないと診察と言われない!)・少し雑談する
もちろん、診断・治療は最低限必要。
— robaggio Dr おなか専門 (@robaggio18) June 30, 2020
雑談が苦手な方は「最近は暑いですね。水分をしっかり摂っていますか?」「寒いですね、大丈夫ですか?」といった季節の話などでも十分です。
関係性が深まってきたら、「その後お加減いかがですか」「1ヵ月ぶりですね。お変わりありませんか?」など、会話のバリエーションを増やしていくといいでしょう。
次回診療時に円滑なコミュニケーションを取るために、カルテの片隅に、今日の雑談の内容についてメモを残すなどの工夫をしてみることもお勧めします。
高齢者医療について勉強をしておく
少子高齢化が進む日本では、これから患者の高齢者比率が高まっていきます。認知症や転倒による骨折など、高齢者に特有の病気やケガにも注意が必要です。
また、高齢者は若い人に比べて病気の説明も理解し辛くなっているため、より丁寧な説明が求められます。
これからの時代、自分の専門の診療科のスキルや知識に加えて、高齢患者とのコミュニケーションに関する理解を深めていくことは不可欠と言えるでしょう。
まとめ
治療方針を明確にするための話し合いや診療以外の雑談などを通じ、患者との信頼関係を築くことで、診療が円滑に進み、診療時間の短縮にもつながります。積極的にコミュニケーションを図ることは、患者の不安を取り除くだけでなく、医師の側にも大きなメリットをもたらすのです。