マンション投資の出口戦略を考える

マンション投資の出口戦略を考える

マンション投資をするときは誰でも、投資金額と予想収支との比較による「想定利回り」をチェックして検討要素にするでしょう。また、減価償却費などの費用によって税務上の利益が赤字になれば、本業の給与などからその赤字を差し引ける「節税効果」について考える人も多いはずです。

しかし、将来マンション投資をどうやめるのか、つまり「出口」についてはあまり深く考えずに投資を始めてしまう人が多いようです。

もちろん、不動産投資は長期間続けるものであり、遠い将来の出口については予想できない部分も多くなります。しかし、明確に出口を意識しているのといないのとでは、物件選びや賃貸運営の過程も大きく変わってくるため、意識を向ける必要がありそうです。

出口戦略の重要性

投資における「出口」とは、一般的にはその対象への投資の終了を指します。

例えば、区分所有マンションであれば通常の出口はその物件の売却です。場合によっては、自宅にするという選択肢もあるかも知れません。また、土地付きアパートなどの場合なら、売却のほかに、建物を取り壊して更地にして売る、別の建物に建て替えるといった出口も考えられます。

保有し続けて自分の死後は親族に相続させるという方法もありますが、このように保有を続けることも「出口戦略」の1つとなり得ます。

不動産投資の最終的な成果は、保有期間中の実質利益(家賃収入から得られる純利益+ほかの所得との損益通算による節税効果)と、出口での売却収入をトータルで考えます。

出口戦略を考えることは、不動産投資に欠かせない一部なのです。

しかし出口戦略は購入から何年も先のことになります。また、さまざまなタイミングが考えられるとともに、税金など考慮すべき点も多くなります。さらに、購入する物件によって出口の選択肢の可能性が異なる場合もあります。

物件タイプによって異なる想定出口戦略

投資を行う不動産の物件タイプによって、想定できる出口戦略は異なります。ここでは、マンション投資に限定して考えます。

もっとも基本的な考え方としては、

①新築マンションは出口までが長くなる
②売りやすいマンションは価格が高く、家賃利回りが低い

という傾向を押さえておきましょう。

①新築マンションは出口までが長くなる

まず①ですが、新築マンションと中古マンションを比べた際、一般的には同じ地域やグレードのマンションでも新築の方が2割程度価格高くなると言われます。

新車と同じで、いわゆるプレミアムがついているのです。逆にいうと、新築マンションは買った瞬間に中古になるので、仮に買った翌月に売ったとしても2割価格を下げないと売れないということです。

一方で、同じ地域、同じグレードの物件であれば、新築物件でも築1年の中古物件でも賃料相場はほぼ変わりません。つまり、新築物件は中古物件と比べると相対的に割高な価格であるため、同じ程度の賃料の物件であれば、投資回収期間がそれだけ長くなるのです。

通常、出口は一定の投資金額を回収した時点で考えますから、新築物件の方がそれだけ出口までの期間が長くなるということです。その代わり、新築の方がすぐに入居者を付けられますし、修繕の手間や費用も当面は不要です。

出口が先になっても、確実にすぐに入居者を付けたいのであれば、新築を選んだ方がいいでしょう。逆にある程度物件に対する「目利き」の力があり、早期の出口を目指す場合は中古を選ぶべきかも知れません。

②高く売りやすいマンション、家賃利回りが低い

例えば、東京都港区のタワーマンションやワンルームなら若者に人気の下北沢や中目黒などのエリアの駅近マンションなどは、新築はもちろん、中古でも需要が高いため販売価格がほかのエリアより割高になっています。

一方、家賃は販売価格ほどエリアごとの差がないため、家賃収入の利回りは下がります。

例えば、東京都全体の平均家賃利回りが4%だとするなら、3%になるといった具合です。

その代わり、人気が非常に高いエリアのマンションは、中古になっても価格があまり下がりません。また、買い手も多いため、短期間で売ることができます。

ここから、いざというときにはすぐに売却できて、価格も落ちにくい資産の保有を目的とするのなら都心の人気エリアを選ぶべきだといえます。一方で、家賃収入から得られるキャッシュを目的として、持ちきり(売却をしない)の戦略を考えるのなら利回りの高いエリアを選ぶべきだと言えます。

一般的な出口のタイミング

マンション投資における出口のタイミングは、その投資家のライフプランや資産全体の状況、また物件のタイプとも関連するので一概は言えません。しかし、一般的に多くの投資家が出口と考えるタイミングが3つあります。

①投資資金の回収見込みが立った後

家賃収入から得られる純利益の総額は、不動産を保有している期間中、徐々に増えていきます。一方、物件の売却価格は、一般的には段々と下がっていきます。

この積み上がっていく家賃収入と物件売却価格の合計金額が、投資金額(物件の購入価格+諸費用)を超えれば、投資金額の回収はできたことになります。あとは、高く売れそうなタイミングで売却すればいいでしょう。

なお、不動産運営の純利益が赤字で本業の節税をしているのであれば、節税額の合計+物件売却価格でシミュレートすればよいでしょう。

②購入後6年目

出口の目標となるタイミングの2つ目が、購入後6年目です。

正確には、購入から5年を経過して年をまたいだ後(=5回目の1月1日が過ぎた後)ですが、ここではそれを「6年目」と呼びます。

その大きな理由は税制です。個人が保有している不動産物件を売却した場合、利益にかかる税金は5年以内か6年以降かによって、大きく変わります。

5年以内(短期譲渡所得)=所得税、住民税、復興特別税合計で39.63%
5年超(長期譲渡所得)=同20.315%

と、税金はほぼ2倍の差になります。そのため、6年目を売却タイミングとする考え方があるのです。

また、投資用不動産の購入時の融資は、変動金利や短期固定金利で組むことが多いですが、5年が金利見直しのタイミングになることが多いため、売却を考えるタイミングになります。

なお、譲渡課税は譲渡所得がプラス(利益が出ている)である場合にかかるものです。細かい説明は省きますが、譲渡所得(建物)は下記で計算されます。

譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費用)
(取得費=購入代金、購入手数料、減価償却費相当額など)

一般的には、新築で購入したマンションの場合、譲渡所得がプラスになることは少ないので、譲渡所得課税はかからないことの方が多いですが、一応はシミュレーションをしておく必要があるでしょう。

③減価償却期間が終了するとき

減価償却費は、建物の購入費用を一定期間にわたって分割で計上するものです。税務上費用とされますが、すでに建物購入時に現金は支払っているため、現金支出が伴わない費用になります。減価償却費を費用として計上できることによって、その分、毎年の課税を減らす(正確には将来に繰り延べる)ことができます。

新築のRCマンションの場合、減価償却期間は47年間と定められています。2,000万円のマンションなら、毎年約42.6万円、減価償却費を計上できます。

例えば、家賃収入が120万円、減価償却費以外の費用を差し引いた年間の家賃所得が100万円だとします。ここから、減価償却費の42.6万円を引くと、57.4万円に対して課税されることになります。税率が30%だとすると、税額は約16.4万円です。手元に残るキャッシュは、100-16.4=83.6万円です。

もし48年目になって減価償却が引けなくなると、100万円に対して課税されるので、税額は30万円、手元に残るキャッシュは70万円になります。

減価償却費が計上できなくなることによって課税が増え、キャッシュの手残りが減るため、減価償却費の計上期間が終わる前に売却するというのは、1つの考え方です。ただし、新築マンションの場合は減価償却期間が47年と長期にわたるため、その前に融資の返済も終わっているはずで、これを考慮に入れる必要はほぼないでしょう。

中古マンションの場合は減価償却期間が短いので、この点は出口戦略に重要な影響を及ぼします。必ず減価償却期間を確認して、その期間終了前後のキャッシュフローをシミュレーションしておく必要があります。

④市況が高騰しているとき

不動産市況はそのときどきで売買相場が異なります。

一般的には景気が良いときには相場が上昇し、景気が悪くなると下がります。中古マンション価格の相場状況は、公的な不動産情報機関である「レインズ・マーケット・インフォメーション」などで調べることができます。

また、過去の価格推移などのマーケットデータもレインズが公開しています。これらを参考して、価格が高いタイミングを見計って売却することも1つの考え方です。

まとめ

マンションは、国債や株式などの金融資産と違って、流動性が低い(売りたいときにすぐには売れない)ことが特徴です。

また、売却のタイミングや物件の状態によって、売却収入の差が大きくなります。だからこそ、投資時点でしっかりとした出口戦略を描いておくことが大切なのです。

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