医師に株式投資が向かない2つの理由

医師に株式投資が向かない2つの理由

株式投資はインフレに強く、また経済が成長すればするほど価値が上がる有効な投資商品です。医師を対象とした調査で21.8%の人が株式投資を行っていました。しかし、一般的だからといって医師に向いているとは限りません。「皆がやっているから」と手を出しやすいだけで、失敗をする可能性が高いものもあるのです。

本コラムでは、株式投資のメリット・デメリットを整理し、医師に株式投資が向いていない理由について考えてみましょう。

株式投資のメリット

メリット1 大きな利益の可能性

最大のメリットは、預貯金では得られない大きな利益の可能性です。かつては「株式投資は資産家がやるもの」という考えが一般的でしたが、1987年のNTT株上場によってその常識は覆されました。同社の上場は日本中の注目を集め、売り出し価格120万円だった株価が2カ月後には318万円、2.65倍になったのです。

その間、株主は何もせず株を所有していただけですから、まさに不労所得です。これを機に株式投資は「短期間で大きなバックが得られる投資」として広く認知されることとなり、一般サラリーマンをはじめとする個人投資家が市場に参入するようになりました。

メリット2 インフレに強い

前述のように株価は物価と連動して上昇する傾向があるため、預貯金や現金保有よりも、効果的な資産運用といえます。また、インフレによって企業の収益が上がれば、それによる配当金も期待できます。

株式投資のデメリット

一方、株式投資には次のようなデメリットもあります。

デメリット1 元本保証がない

インフレへの強さは、あくまで株式市場全体を見た場合です。個別の企業で見れば、投資先が倒産してしまう可能性はゼロではありません。倒産してしまえば株式の価値は当然ゼロとなり、1円も残りません。

デメリット2 値動きが早い

値動きが早い株式の値動きは非常に早く、素人はもちろん、プロでも先読みが難しいといわれています。そのため、適切な売り時と買い時を見逃してしまいがちです。

医師に株式投資が向いていない理由

また、バブル崩壊時の1990年も前年の38,915円から23,848円へと大暴落しました。とはいえ、医師にとってもっとも大きなデメリットは大暴落ではありません。株価は市場が開いている間、常に上下しているので、いつも注視していないと買い時も売り時も見逃してしまうということです。ただでさえ食事の時間もない多忙のドクターが、この動きについていくのは難しいでしょう。

株価は企業活動によって変化します。一般に名前が知られていないような小さな企業でも、画期的な商品を開発したニュースが発表されれば、瞬く間に株価が上昇することは少なくありません。逆に安定経営を続けている大企業でも一度不祥事が発覚すればすぐに株価は暴落します。毎朝、新聞やテレビで情報収集をし、日中はネットで値動きをチェック ― そんな時間が果たして医師にあるでしょうか。

しかも、株式市場は国内外の投資ファンド等による情報操作が当たり前の世界です。この動きについていけるのは、株式投資だけで生活が成り立つような知識豊富で時間的にも余裕がある専業トレーダーだけです。

株式投資は忙しい医師にとって年間数万円程度の小遣い稼ぎにはなっても、何千万円、何億円といった多額の資産形成ツールにはなり得ないのです。

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