資産運用の基本は、想定可能なリスクを把握し、それをどこまで覚悟して投資を行うのか、そしてどれだけのリターンを狙うかをしっかり計画することです。そこで、今回は資産運用の計画の立て方について整理してみましょう。
資産運用の計画に必要な3つの要素
基本的な金融リテラシー
多忙なドクターは必要事情の金融リテラシーで十分です。あとはパートナーとなる金融のプロに相談しながら進めればいいでしょう。
長期的な計画
「資産運用(投資)=短期間で儲かる」と考える人がいますが、その考えは危険です。資産運用は、短期間で結果を求めれば求めるほどハイリスク・ハイリターン、つまりギャンブルに近づきます。なかにはそういった投資商品もありますが、確実な資産生計を狙う場合は決してお勧めしません。数年から十数年の長期的視野に立って、「何歳までにいくら必要か」を計画、実行することが重要なのです。
広い視野
多くの日本人は「資産運用=預貯金」という考えを持っています。これは視野が狭いと言わざるを得ません。資産運用の方法は多種多様です。自分が今まで知らなかったからといって、それが決して怪しい方法とは限りません。何にでもすぐに手を出すのは禁物ですが、お宝情報というものは、なかなか表には出てこないものです。常に好奇心を持って、幅広い知識を得ることに努めることをお勧めします。
資産運用計画の立て方 ステップ
以上の点を踏まえて、資産運用計画の立て方を紹介していきます。
ステップ1 現状の総額をする
まずは、今所有している資産がいくらかを確認します。この額が明確にならないと、どれくらい増やせば目標額に達するのかが分かりません。このときの資産とは、預貯金を含めた現金や株、投資信託など、すぐに現金化できるものです。家や車など現金化すると生活できないものは含みません。 預貯金に関しては、個人で使っている口座だけの人もいると思いますが、そのほかにも家族がいざというときのためにと貯金している口座や、両親が子どもの頃から積み立ててくれていたものもあるかもしれません。それぞれ最新の状況を記帳して確認してください。
ステップ2 目標額と時期を設定する
目標額と時期を設定する総資産額を把握したら、次はそれをどれだけ増やすかの目標額を設定します。3,000万円増やすのか10億円増やすのか、また、その達成時期によっても運用方法は大きく異なってきます。
目標額と時期を設定する際には、家族も含めたこれからの生活の青写真を描く必要があります。たとえば「5年後に開業したい」となった場合、土地と建物そしてX線撮影装置や超音波診断装置などの各設備を含めて最低数億円はかかるでしょう。
しかし、場所や診療科目によってはもっとかかる場合もありますし、開業後、ある程度の集客が見込めるまでの運営資金も必要となりますので、何年くらいの余裕を見るのかや何を優先するのかなど、ある程度の見通しは立てておかなければいけません。加えて子どもの教育費も忘れてはいけません。もし子どもが大学の医学部を目指すなら、6年間の学費は国公立大学に入学の場合で約350万円、私立ならば多くが3,000万円前後、高い大学なら5,000万円近くになります。子どもが2人なら6,000万円以上です。
そのうえ悠々自適な老後生活を送ることを考えると、最低でも数億円、できれば10億円ほどあれば理想的ではないでしょうか。体力的な問題も考えると、バリバリ働けるうちにこの金額を達成したいところです。
ステップ3 具体的な運用方法を決定する
目標額と時期が決まったら、いよいよ資産の運用方法を決定します。主な資産運用の方法としては、預貯金、債券、株式、投資信託、FX、金、不動産などがあり、ほとんどのものに国内と海外の市場があります。また、それぞれ特徴が異なるので、どの方法が目標達成に最適かをよく吟味しなければなりません。
この段階まで来ると、基本的な金融リテラシーだけでは太刀打ちできなくなってきますが、実際にはこれ以上勉強する時間を取るのは難しいでしょう。
さらに、いざ運用をはじめたら常にその値動きをチェックし、売り時を見極めなければなりません。ここでも多くの時間を要してしまいます。
そこで活用したいのが「外部の知見の適切な活用」です。つまり、金融のプロを利用するのです。適切なプロをパートナーとすれば、現状の資産と目標に応じたアドバイスが受けられ、確実な資産形成と時間的余裕を得ることができます。
まとめ
多忙なドクターが資産形成を検討する際は金融リテラシーの高いプロをパートナーにするのが良いでしょう。適切なパートナーと手を組み、現状の資産と目標に応じた投資方法を選択することが資産形成へ第一歩となるのです。